うつヌケ
こんにちは、とるてです。
いつもご覧いただきありがとうございます。
今日は本の紹介をしたいと思います。
うつのかたは目にしたこと、読んだことが、あるかもしれません。
それは、うつヌケです。
発売からもうすぐ2年が経とうとしていますが、当時私は何かで目にして発売日を楽しみに待っていました。そして当日にすぐ書店へ行ったことを覚えています。
どのような本?
うつヌケは作者の田中圭一さん自身がうつ病の経験があり、うつ病になった過程や克服に繋がった過程を体験談として書いています。
更に10人以上のうつ病経験者の体験談を収録していますので、どのような人が罹ったのか、どういった原因で罹ったのか、それをどのようにして克服したのか、を見ることができる貴重な本になっています。
まず私が読んだ感想ですが、漫画になっているため、とても読みやすいです。
うつの時は活字を読むだけでも大変ですので、とっつきやすく、軽い気持ちでページをめくることができるのは大きいですね。
しかも中身は、うつ病者の体験談が章立てになっていますので、1日1話、今日はここまで!というように区切りをつけながら読むこともできて楽チンですよ^^
本の内容①
Amazonでの紹介文を引用させていただくと、こんな感じです。
ある漫画家がうつ病のトンネルから脱出するまで
『うつヌケ』できた恩返しにこの漫画を描いた
自身もうつ病を患い、快復した経験をもつ田中圭一さんが、同じく経験者たちにインタビューを重ねた漫画『うつヌケ うつトンネルを抜けた人たち』(KADOKAWA)が話題を呼んでいる。
「僕が“うつヌケ"できたのは1冊の本がきっかけでした。漫画家であるからには、いま苦しむ人に役立つ漫画を描いて恩返しせねばと思ったんです。そこでツイッターでうつ脱出経験漫画を描きたいと呼びかけたところ、後に担当となる編集者から即座に連絡がきて。その打てば響く反応こそ『この漫画はいけそうだ』という最初の手応えでした」
登場するのは大槻ケンヂ、宮内悠介、内田樹といった有名人から、OL、編集者、教師と多様な顔ぶれだ。
「うつは特別な人だけのものではなく誰だって罹る可能性があるものだと伝えたくて、幅広い方々に語ってもらいました。梅雨時は落ち込んだり、夏には浮き立ったり、そんな気分の上下はみんなありますよね。うつは、その程度が大きくなったようなものです」
うつの身近さを示す表現として作中では“うつ君"というぷにょぷにょした物体の群れが描かれる。うつの度合いで数が増えたり減ったり、色が黒から白に変わったりするうつ君は、病なのにどこか愛嬌がにじむ。フルカラーの電子版では色彩による表現も多用した。
「漫画のもつ抽象化や擬人化の効果を今回は最大限に使いました。うつヌケした時って本当にモノクロの世界がぱーっと色を取り戻すような感覚なんです」
劇的変化は創作にも及ぶ。田中さんといえば手塚治虫筆頭に数々の大御所そっくりの画風を駆使した下ネタギャグが人気の漫画家だ。しかし本作では画風はそのままに真摯な体験談をストレートに描いた。『うつヌケ』と同時期に刊行の『ペンと箸』では有名漫画家の2世に取材。赤塚不二夫や池上遼一らを真似た絵で彼らと子供の食事のエピソードを描き、ホロリとさせる。
「以前は“泣ける"“感動モノ"が嫌いでした。でも、うつの間は脳が寒天に包まれたように何も心に届かなかったのが、抜けた途端にいろんなものに感動するようになった。その喜びに、自分も人を感動させるものを描きたいと素直に思うようになりました。うつヌケして頭がクリアになると、ギャグ漫画で培った笑わせるためのロジックやテクニックは感動を生み出すために応用できることも解りました。根は同じですね」
と取材の最後に田中さんが「よかったらどうぞ」と差し出すのは、裸率高めのギャグ同人誌。ぶれない!
評者:「週刊文春」編集部
本の内容②
トンネル脱出
うつ病に悩む人は多い。ぼくのまわりにも何人かいるし、他人事ではない。
田中圭一の『うつヌケ』は、うつ病を真っ暗なトンネルにたとえ、そこから抜け出した人びとに取材したコミックエッセイである。
はじめに著者自身の体験が紹介される。サラリーマンとマンガ家という二つの仕事で忙しく働いていた著者は、転職をきっかけにうつ病になる。「あなたのうつ病は一生もの」ということばで医者に不信感をいだいて悪化。勝手に服薬をやめたり、医者を転々としたりとますます悪化。
トンネル脱出のきっかけは、コンビニで見つけた文庫本だった。うつ病にかかった精神科医が書いたエッセイである。著者は再発と回復を繰り返しながらも、自分の場合は気温の変化が引き金でうつ病になることに気づく。そして、「うつはそのうち完全に治る」と実感するに至る。
ここまではいわば序章。以下、著者が会って聞いた、さまざまな人の「うつヌケ」体験談が続く。
この人もうつ病に苦しんでいたのか、と驚く。ミュージシャンの大槻ケンヂ、AV監督の代々木忠、小説家の宮内悠介、熊谷達也、そして思想家の内田樹も。彼らに共通するのは、多忙さであり、責任感の強さであり、無意識に設定する目標の高さである。
「うつヌケ」のきっかけとなるのも人それぞれ。大槻ケンヂの場合は森田療法との出会いであり、内田樹は合気道を通じて「脳を休ませて身体の声を聞く」ことに気づく。
マンガという表現がテーマにぴったりだ。軽い気持ちでパラパラめくれるのがいい。なんだか効きそう。
貴重な体験談
うつの時は、現実世界ではなかなか他のうつ病患者と接することはありません。
仮に病院へ行って会ったとしても、話すことなんてまずないでしょう。
せいぜいネットで検索してブログを読んだり、掲示板でやり取りしたり…ぐらいではないでしょうか?そういう意味ではネットは貴重なツールです。
しかし本でそういったものは意外に少ないのです。
そんなときに発売されたのが、このうつヌケでした。
「うつ病の人はどうやって治したんだろう?乗り越えたんだろう?」
このような思いはみなさん持っているでしょうし、感じていることでしょう。
そんな他人のうつ体験談が10数人分読めるというだけで価値があると思いました。
私の場合
私はこの本を読みながら、「こういうケースもあるんだ」と共感したり、時には自分と重ね合わせて感情移入したりしていました。1日1話、寝る前に読むことが多かったですが、時には2話分一気に読んだりもしましたね。
みなさんそれぞれ、うつを抜けるといった分岐点があり、その部分が一番気になっていたところでもあるので、そこは参考になる部分が多かったです。
基本的には読んでいる時は気分が良かったですし、少し楽になった気がしましたね。
ですので「読んで良かったな」という感想を持ちました。
参考になるか?
これははっきり言って、人それぞれとしか言いようがありません。
というのも体験談として取り上げられているのは、いわゆるクリエイティブ、そういった業界の人がほとんどだからです。
そうなるとなかなか現実味がなかったり、人によっては初めからとっつきにくいかもしれませんね。ですので、「こういう人達もいるんだ」くらいの気持ちで読んだほうがいいかもしれません。
うつヌケといって、うつが治る、克服する!というのとは違うと思います。
うつの人なら分かると思いますが、元になんてハッキリ言って戻れません。
うつと上手く付き合っていく、寛解を目指す、そのような目的で読めば、参考になる本だと思います。
うつといっても、一括りにはできません。病気になったきっかけも、現状も十人十色です。ですから、寛解へ向かう分岐点も何がきっかけになるか分かりません。
そういった意味で、この人はこれがきっかけだったのか!という気づきを与えてくれますよ。私はこれが一番の収穫でした☆
このような体験談をまとめた本は貴重な資料だと思いますので、うつではないかたで興味を持っているかたも参考になると思います。ぜひ一度読んでみてくださいね!